認知神経リハビリテーション学会

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メッセージNo. 9  「ヴァイツゼッカーのゲシュタルトクライス」

 Weizsacker(1933)は、名著「ゲシュタルトクライス(GESTALTKREIS)/木村敏・浜中淑彦訳/みすず書房」の冒頭に「生命あるものを研究するには、生命と関わりあわねばならない」と記している。そして、「医学が対象とするのは生命あるものの運動であって時空間中の物体の運動ではない」と規定している。身体が生きているかどうかは「自分で動いているから生きているのだ(es bewegt sich,also lebt)」という点にある。つまり、身体は自発的に運動する実存なのだと言っています。

 自発運動(spontaneoes movement)は、身体と環境との接触を常に保持するという目的をもっており、この身体を運動させることと環境を知覚することの結合性は「相即/コヘレンツ(koharenz)」と呼ばれる。生きている身体の本質は、自発運動することで絶えず知覚と出会うのみならず、自発運動それ自体が知覚の成立に関与している点にある。環境が身体に働きかけるのと同時に、身体も環境に働きかけている。この運動と知覚の分離することの出来ない「円環性(kreis)」の位相変化が生物学的な意味での発達や学習の基礎であり、これにより身体は「一つの行為」としての「運動形態(Bewegungsform)/キネモルフォロギー」を生み出すことになる。

 セラピストのための基礎論文集「運動制御と運動学習(協同医書)」には、木村敏先生がこの「ゲシュタルトクライシス」について、そして、また金子明友先生が「キネモルフォロギー」について、わかりやすく?解説してくれています。この二つをじっくり読んだ上で、近年のギブソンや佐々木正人先生らによる「アフォーダンス」の意味を考えると、運動研究の地平が少し見えてくるような気になる。実は、セラピストに取って、それからが大変なのですが・・・・。

2000.12.23

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