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リハビリテーションの臨床では手足の運動障害を治療することが多い。たとえば、脳卒中片麻痺では痙性と呼ばれる異常な筋緊張が手足に出現し、その治療には大変苦慮する。したがって、治療者の意識の志向性は常に手足の運動麻痺に向けられることになる。同様に患者の意識の志向性もまた手足の運動麻痺に向けられる。
私が2010年の新春に皆さんに提言したいのは、その時に正しい座り方、正しい立ち方に意識の志向性を向けることの大切さである。体幹を垂直位に保った「正しい姿勢」をつくってから、手足の治療に取り組むべきである。なぜなら、実際の日常生活動作は手足が単独で動くのではなく、常に体幹の運動と連結して手足が動くからである。
手足の前に体幹を治療すること。体幹が基礎で手足は応用だと考えること。「正しい姿勢」に意識の志向性を向けることで、日々の臨床が変わり、新しい効果が生まれるはずである。
(雑誌:医道の日本,新年のことば、2010年1月号,p124より転載)
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