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メッセージNo.16  「運動療法とファシズム」

 運動療法とはまったく関係のない、辺見庸の「永遠の不服従のために(朝日新聞社刊,2002年,1500円)」という刺激的な本を読んでいたら、ウンベルト・エーコの次の言葉が記されていた。

 「ファシズムには、いかなる精髄もなく、単独の本質さえありません。ファシズムはファジーな全体主義だったのです。ファシズムは一枚岩のイデオロギーではなく、むしろ多様な政治・哲学思想のコラージュであり、矛盾の集合体でした。(ウンベルト・エーコ)」

 不意に、思いつき、ファシズムという言葉を運動療法に変えてみた(政治・哲学思想も理論・技法に変えた)。

 「運動療法には、いかなる精髄もなく、単独の本質さえありません。運動療法はファジーな全体主義だったのです。運動療法は一枚岩のイデオロギーではなく、むしろ多様な理論・技法のコラージュであり、矛盾の集合体でした。」

 この運動療法を、リハビリテーション技術とか、理学療法とか、作業療法に変えてみてもいいかも知れない。

 何か、非常に本質を突いているように感じられる。運動療法の現状を変えることは難しい。臨床はファシズム、つまり全体主義に支配されているのか。矛盾の集合体であると同時に、一枚岩のイデオロギーではないために、誰も責任を追及されることはない。

 ファシズムの恐ろしい所は、それに支配されている間はファシズムであることがわからない点である。

2002.10.20

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