学会長挨拶
「回復とは学習である」。これは認知神経リハビリテーションにおける重要な視座であり、我々は日々患者の学習過程に対して介入しています。
今回の学術集会ではこの学習過程への介入をさらに発展させる可能性を追求することを目標に掲げました。メタラーニングという言葉は機械学習などの分野で用いられているものですが、その意味は「学習の仕方を学習する」であり、認知神経リハビリテーションが目指している自律性と類似した意味を有していると言えます。つまり患者自身が行為の学習過程を学習することによって自律的に学習を継続していく存在となることを意味しており、またそれこそが人間の行為の回復であると考えます。
そこで本学術集会ではテーマを「行為のメタラーニング~人間の運動学習ストラテジーを再考する~」とし、行為の予測、推論、比較、記憶、シミュレーションといった学習過程を再考するとともに、メタラーニングという視点の応用可能性を議論していきたいと考えています。
そして今回は約3年ぶりの完全対面学会となります。開催会場の東京大学にて、新たな発展を目指し、多くの方々と未来志向の議論を展開できることを準備委員一同心から楽しみにお待ちしております。
第23回認知神経リハビリテーション学会学術集会
学会長 安田真章(東京大学医科学研究所附属病院)