第21回 認知神経リハビリテーション学会学術集会

学会長挨拶

 リハビリテーションとは,全人間的復権を意味し,人間らしく生きる権利を取り戻す手段の一過程とされています.社会性は人間らしさの象徴の一つであり,リハビリテーションでは,身体・精神の機能回復と併せて,社会の中で他者と共存しながら生活を営む行為を取り戻すことは,極めて重要な課題と言えます.しかしながら,脳に損傷を負うことで,例えば言語理解のみならず状況理解までも低下し,他者との交流が困難な失語症患者や,他者の視線を意識し,外出時には麻痺手の使用を控える片麻痺患者,或いは一人では歩行可能だが他者と並んで歩くことが困難なパーキンソン病患者など,他者と関わる行為が困難となり社会の狭小化をきたす事例は少なくありません.認知神経リハビリテーションでは,あらゆる行為の回復を病的状態からの学習とみなし,回復には,目に見える行為の背景にある認知プロセス(知覚・注意・記憶・判断・言語・イメージ)の活性化が密接に関わるとしています.認知神経リハビリテーションの観察の視点は,他者と関わる行為の背景にある病態の理解を深め,そこから新たな臨床展開の手がかりを見出す可能性があります.

 そこで,学術集会のテーマを,「We-mode cognition -新たな運動学習の視点と臨床展開をめぐって-」としました.We-mode cognition(我々モードの認知)とは,他者と双方向的な相互作用をしている最中の,個々人には還元できない集合的な認知のモードを指す比較的新しい用語です.これまでの心の理論などは,「観察者」として他者を認識する「三人称的」社会性認知であるのに対し,We-modeは,相互作用している「当事者」としての「一人称複数的」社会性認知として考えられています.また,このWe-modeが適切に成立することは,相互作用している相手の視点や信念など,他者の持つ情報へのアクセスを増大させ,発達を含め学習可能性を高めることにも影響すると考えられています.

 今回の学術集会では,このテーマをめぐって,We-modeリハビリテーションの実践に向かうためのプログラムを企画したいと考えています.そして,他者との相互作用が困難となる背景や,様々な行為の障害を見直し,新たな観察の視点や運動学習を促進する臨床展開の可能性について考える機会にしたいと思っております.

 会場となる大阪市中央公会堂は,赤レンガの外装が美しい国の重要文化財です.ヘレン・ケラーや宇宙飛行士のガガーリン大佐も講演された由緒ある会場でもあります.この歴史ある舞台で,人間らしさの理解とリハビリテーションの進歩に繋がる議論が行われる学術集会にします.皆様のご参加を心からお待ちしております.

第21回認知神経リハビリテーション学会学術集会
学会長 河野正志(村田病院)

開催会場

大阪市中央公会堂
〒530-0005
大阪府大阪市北区中之島1丁目1-2

事務局

第21回認知神経リハビリテーション学会学術集会事務局
〒781-0270
高知県高知市長浜6012-10
高知医療学院内
一般社団法人認知神経リハビリテーション学会
E-mail:syukai-21@jsncr.jp

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