学会関連図書紹介
(祝)第21回 認知神経リハビリテーション学会学術集会
協同医書出版社の新刊書
ペルフェッティ・パースペクティブ[Ⅰ]
認知神経リハビリテーションの誕生
身体と精神をめぐる思索
カルロ・ペルフェッティ 著、小池美納 訳、宮本省三 編集
B5変形判・208頁・定価4,400円(本体4,000円+税10%)
ISBN978-4-7639-1092-9
『身体と精神』に次ぐペルフェッティの貴重な講義録
リハビリテーションはどこに向かうべきなのか
その探求の軌跡をたどる
本書は、日本のセラピストを対象にした、カルロ・ペルフェッティの貴重な講義の記録です。
ペルフェッティは運動機能の回復を、身体-精神のシステムの回復と捉え直し、リハビリテーションにとって革命的ともいえる視点の転換をもたらしました。それは、訓練を通して、障害によって変質した神経メカニズムの再構築・認知過程の再組織化をはかることであり、そのことは同時に患者の意識経験(主観)の変容を伴うという考え方です。言い換えれば患者の意識経験の変化が中枢神経系を改変するということです。
その視座は、運動学・神経生理学・神経心理学・脳科学・教育学・哲学など自然科学・人文科学を合体させた膨大な知の蓄積の中からリハビリテーション(病的状態における学習プロセス)の観点から役立つものを取捨選択するなかで得られたものです。リハビリテーションのための治療理論の確立のために理論的仮説を立て、訓練で検証し、理論をさらに「厳密な科学」へと発展させていくという絶えざる営みを続けてきました。本書によってその営みを支えてきた思索の軌跡を改めてたどることはペルフェッティが切り開いたリハビリテーションの方向を見据え直すことであり、「未来のためのツール」を手にすることにつながります。
[目次]
[第Ⅰ部] 思考の階段
講義1 認知神経リハビリテーションの歴史/講義2 身体化された自己、意識経験
[第Ⅱ部] 脳は情報を構築する
講義3 片麻痺の情報性[Ⅰ]/講義4 片麻痺の情報性[Ⅱ]/講義5 「行為の知覚から意図の理解へ」を読む
[第Ⅲ部] 手は「脳の鏡」である
講義6 手のリハビリテーションの特異性/講義7 手の情報メカニズムと訓練プロセス/講義8 手は精神である/講義9 手の回復、文化と自由のはざまで
[第Ⅳ部] 脳は行為を比較する
講義10 訓練と現実[Ⅰ]/講義11 訓練と現実[Ⅱ]/講義12 行為間比較への旅
協同医書出版社の新刊書
臨床ノートの余白に
発達支援と高次脳リハビリテーション
本田慎一郎・菊谷浩至 著
A5判・236頁・定価3,300円(本体3,000円+税10%)
ISBN978-4-7639-1091-2
言葉-声-身体の臨床………
経験はどうやって語れるのだろうか
経験はどうやって聞きとれるのだろうか
本書は、リハビリテーションの臨床のなかで、「対話」を通して本人やセラピストの双方が気づき、考え始めることをできる限り漏れなく書き留めることで臨床の生きた流れを再現したものです。リハビリテーション・カルテの枠内に書ききれないこと、そうであれば欄外に書きこむしかない気づきが思考の契機となり、それによって発見されていく情報が臨床の質を向上させていくという臨床家の「実感」が浮き彫りにされています。本人とセラピストとの対話によって動き始める思考を繫ぎ合わせ、観察や科学的知見を織り交ぜながら展開させることこそがリハビリテーション独特の臨床思考の原動力であり、治療効果を生み出すための臨床判断の根拠にもなっていることが明らかになってきます。
さらに本書では、「対話」を「言葉-声-身体」が融合した仕組みであるととらえ、この仕組みが生み出すものをいっそう意識的に活用することが、リハビリテーションの臨床の実体であると考えます。本人とセラピストが、ひとつの治療目標のもとに、それぞれにその臨床の当事者としての経験を生きている時間と場所を共有していくということこそ、リハビリテーションにおいて活用される「対話」という営みのもっとも力強い生命力、言ってみれば人間の認知機能が活発に動く「力場」であると考えます。本書では、詩人の力を借りて、リハビリテーションの臨床をそうした「言葉-声-身体」の世界として読み直します。
[目次]
[第1部]重度発達障害の臨床へ
・言葉にならない世界を言葉へ(重度発達障害編)
・「重度発達障害編」を読んで。遊泳禁止、泳ぐ
[第2部]高次脳機能障害の臨床へ
・言葉として語られた世界を言葉へ(豚足編)
・「豚足編」を読んで。不滅の憑依
[第3部]言葉への向き合い方〜セラピストの場合、詩人の場合
協同医書出版社の新刊書
動きのコツを教えます
自宅でできる脳卒中当事者のリハビリ・ガイド
生野達也 著
B5判・定価3,850円(本体3,500円+税10%)
ISBN978-4-7639-1093-6
身体の感じ方を通して脳と対話する練習法
専門家による全レシピの紹介
本書は、これまで脳卒中片麻痺による運動機能障害のリハビリテーションに携わってきた「動きのコツⓇ研究所リハビリセンター」が提供する、機能回復のための練習メニューの全レシピを紹介するものです。センターでは脳卒中後の病院リハビリテーションを終えて自宅に戻った方々を対象に、「発症から180日後の改善をあきらめないこと」をモットーに、特別な道具や設備を必要としない自宅の環境のなかで、身体の動き方のコツを自分で体感しながら、独力で進めることのできる練習方法を開発してきました。本書ではそうした方法を下肢(脚部や足部)と上肢(手)のブロックに分け、そうした練習メニューをイラストとテキストで丁寧に解説しています。人間の脳は、途絶えることなく変化し続ける力を秘めています。その潜在力を生かすためには、本人が自身の身体の動く感覚に耳を傾けながら、それを実際の身体の動きに引き出すためのコツが必要です。そのコツを提供するために書かれたのが本書であり、自分自身の身体感覚に耳を傾けることから出発する、自宅でできるリハビリテーションのガイドブックなのです。
[目次]
第1章 リハビリのための脳科学
*リハビリの目的は脳を書き換えること
[ステップ1]麻痺している側の手足を生活で使う
[ステップ2]身体の感覚を意識する
[ステップ3]がんばらずにゆっくり動く
[ステップ4]簡単な動きから始める
第2章 具体的なリハビリの進め方
①リハビリ前の状態を確認する
②動きにくさの原因を知る
③リハビリをする
④リハビリ後の状態を確認する
⑤リハビリ方針を決める
第3章 ひとりでできるリハビリ 脚編
[場面別/脚のリハビリ]
(1)動きの難易度:高・内反の方向け「(歩く基礎)内反」
(2)動きの難易度:中・内反の方向け「(立つ基礎)立位左右重心移動」
(3)動きの難易度:低・内反の方向け「(立ち上がり基礎)屈曲相と伸展相」
(4)動きの難易度:低「(座る基礎①)左右重心移動」
(5)動きの難易度:低「(座る基礎②)骨盤前後傾」
(6)動きの難易度:高・ひざ折れの方向け「(歩く基礎)ひざ折れ・クロウトゥー」
(7)動きの難易度:中・ひざ折れの方向け「(立つ基礎)立位左右重心移動」
(8)動きの難易度:低・ひざ折れの方向け「(立ち上がり基礎)屈曲相と伸展相」
(9)動きの難易度:高・反張ひざの方向け「(歩く基礎)反張ひざ」
(10)動きの難易度:中・反張ひざの方向け「(立つ基礎)立位左右重心移動
(11)動きの難易度:低・反張ひざの方向け「(立ち上がりの基礎)屈曲相と伸展相
(12)動きの難易度:高・「(歩く基礎)ぶんまわし、ひっかかり、足が重い」
(13)動きの難易度:低「(座る応用)食事中に左右に手を伸ばす」
(14)動きの難易度:低「(座る応用)食事中に斜めうしろへ手を伸ばす」
(15)動きの難易度:低「(座る応用)トイレで大便を気張る」
(16)動きの難易度:低「(座る応用)トイレで座ってお尻を拭く」
(17)動きの難易度:低「(立ち上がり応用)手すりの使い方による難易度調整」
(18)動きの難易度:中「(立ち上がり応用)椅子とソファの違い」
(19)動きの難易度:中「(立つ応用)立って歯磨き」
(20)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン 前かがみで洗い物」
(21)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン 横に手を伸ばす」
(22①)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン しゃがむ」
(22②)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン しゃがんで横に手を伸ばす」
(23)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン 斜めうしろに手を伸ばす」
(24)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン 背伸びして上の棚に手を伸ばす」
(25①)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン 麻痺している側への横歩き」
(25②)動きの難易度:中「(立つ応用)キッチン よい側への横歩き」
(26)動きの難易度:中「(立つ応用)トイレのレバーに手を伸ばす」
(27)動きの難易度:中「(立つ応用)トイレでお尻を拭く」
(28)動きの難易度:中「(立つ応用)トイレでスボンの上げ下げ」
(29)動きの難易度:中「(立つ応用)洗濯物を干すためにベランダの段差をまたぐ」
(30)動きの難易度:中「(立つ応用)電車やバスでバランスを取る」
(31)動きの難易度:高「(歩く応用)うしろ歩き」
(32)動きの難易度:高「(歩く応用)階段のぼり」
(33)動きの難易度:高「(歩く応用)階段降り」
(34)動きの難易度:高「(歩く応用)速く歩く(横断歩道)」
(35)動きの難易度:高「(歩く応用)坂道のぼり」
(36)動きの難易度:高「(歩く応用)坂道くだり」
(37①)動きの難易度:高「(歩く応用)横斜面を歩く・斜面が麻痺している側下がり(麻痺している側が斜面の下がっているほうになる)の場合」
(37②)動きの難易度:高「(歩く応用)横斜面を歩く・斜面が麻痺している側上がり(麻痺している側が斜面の上がっているほうになる)の場合」
(38)動きの難易度:高「(歩く応用)砂利道、砂浜の場合」
第4章 ひとりでできるリハビリ 手編
[場面別/手のリハビリ]
(1)動きの難易度:高「(あまり動かない方)机の上に置いた紙を麻痺している側の手で押さえて書く」
(2)動きの難易度:中「(あまり動かない方)座った姿勢で麻痺をしている側の手をラクに机に置く」
(3)動きの難易度:低「(あまり動かない方)座った姿勢で麻痺の手をラクに太ももに置く」
(4)動きの難易度:高「(ある程度動くけれど使いにくい方)麻痺している側の手でスプーンを使って食べる、食材なし→食材ありへ」
(5)動きの難易度:中「(ある程度動くけれど使いにくい方)麻痺のある手でスプーンを使って机上を移動させる」
(6)動きの難易度:高「(ある程度動くけれど使いにくい方)麻痺している側の手でスプーンを使って食べる、食材なし→食材ありへ」
(7)動きの難易度:高「(ある程度動くけれど使いにくい方)ペットボトルを麻痺のある手で持って飲む、水なし→水ありへ」
(8)動きの難易度:中「(ある程度動くけれど使いにくい方)ペットボトルを両手で持って飲む」
(9)動きの難易度:低「(ある程度動くけれど使いにくい方)ペットボトルを両手で少し持ち上げる」
(10)動きの難易度:高「(ある程度動くけれど使いにくい方)お皿を口元まで運ぶ、食材なし→食材ありへ」
(11)動きの難易度:中「(ある程度動くけれど使いにくい方)お皿を少し持ち上げる、食材なし→食材ありへ」
(12)動きの難易度:低「(ある程度動くけれど使いにくい方)お皿を太ももに置く、食材なし→食材ありへ」