学会関連図書紹介
協同医書出版社
臨床の造形
私たちはリハビリテーションをつくる
小川 昌、江草典政、高梨悠一 編著
ISBN 978-4-7639-6036-8
A5判 384頁 2020年5月15日発行
定価 4,400円(税込)
セラピスト、看護師、患者…あるいは病院や在宅…
職種や場所を越えて聞こえてくる
モノローグとダイアローグ
「私たちはリハビリテーションという経験の中で何をしているのだろう…誰のために,何のために.臨床は同じことの繰り返しではない。きっとそれは日々の経験によって造形されていく。」
総勢22名の“それぞれの自分史” “それぞれのリハビリテーション史”を収録したエッセイ集。
リハビリテーションの現場で紡がれてきたそれぞれの経験が、寄稿とインタビューという構成で真摯に語られています。
著者たちと実際に関わってきたセラピストが編者となり、著者たちが描いた経験の意味をさらに掘り下げ、当事者のさまざまな声があふれる世界を生き生きと伝えます。
協同医書出版社
ペイン・リハビリテーションを生きて
江草典政、三谷直子 著、中谷俊彦 寄稿
ISBN 978-4-7639-1071-4
A5判 240頁 2013年11月29日発行
定価 3,300円(税込)
正しく感じられることが増えるにしたがって
得体の知れない痛みと動かしにくさは
自然に消えてゆきました
「セラピストのための専門書」でもなく、「患者の体験記」でもない、その隙間を埋めるのが本書の役割だと考えています。リハビリテーションを生きるのは患者さん自身ですが、それを支援する者もまたリハビリテーションを生きていることに違いはありません(本書のプロローグより)。
本書は4年半に及ぶ CRPS(type1)に対するリハビリテーションの記録です。
患者の経験、セラピストの学術、両者の対話という3つの視点を重ね合わせることによってその臨床のもつ本来の厚みを多層的に描き出したもので、「治療」というものがまさに経験として生きられたことのドキュメントであると同時に、ペイン・リハビリテーションの実践に有効な知識と具体的な技術、そして治療を患者とセラピストとの二人三脚という協業作業に高めていくための感性にまで及ぶ提言を行う実践書でもあります。
巻末には、リハビリテーションと並走する形で進められたペインクリニックからの寄稿も収録しました。
協同医書出版社
疼痛の認知神経リハビリテーション
C.ペルフェッティ、F.パンテ、C.リッツェッロ、M.ゼルニッツ 編著
小池美納、朝岡直芽 訳
江草典政、宮本省三 監訳
ISBN 978-4-7639-1087-5
B5変形判 312頁 2020年1月25日発行
定価
5,500円(税込)
生きられ、身体化された「経験」としての痛みを治療する、
ペイン・リハビリテーションの新しいパラダイム!
医学的問題としての「疼痛」の背景には、「痛み」という、人間の生存に不可欠な複雑な仕組みがある。遷延化する「痛み」はまさにその複雑な仕組みの、複雑な様相をもつ破綻である。
本書は疼痛治療に対する医学の歴史の延長線上で、今日まさに展開しつつあるリハビリテーション治療の最新の方法を提供する。
理論書であるとともに充実した実践書でもあり、特に疼痛治療の訓練を紹介したパートは本書でも大部なボリュームを占め、具体的な治療の経過とその臨床思考を丁寧に解説している。
法政大学出版局
生の現象学とは何か
ミシェル・アンリと木村敏のクロスオーバー
川瀬雅也 著
ISBN 978-4-588-15100-2 C1010
A5判 342頁 2019年2月発行
定価 4,070円 (税込)
フランス現象学の革新者ミシェル・アンリと、現象学的精神病理学を打ち立てた木村敏。〈生の現象学〉をキーワードに重なり合う二人の思想と問題意識を、フッサール現象学との比較や、精神医学における臨床例の考察を通じて浮き彫りにし、二人がとらえた世界の有り様を明らかにする。感覚、時間、身体、自己といった歴史的論点をときほぐし、現代における人間の危機を再考する、まったく新しい現象学入門。
協同医書出版社
わたしのからだをさがして
リハビリテーションでみつけたこと
小川奈々、中里瑠美子 著
大西成明 写真
ISBN 978-4-7639-1050-9
A5判 158頁 2007年7月23日発行
定価 2,200円(税込)
目に見えるし、手でさわることもできるこのからだが、
ずっと、わたしにはみつけられなかった
脳梗塞によって左半身が麻痺した女性と、そのセラピスト、二人の往復書簡から浮かび上がるリハビリテーションの本当の意味、成人に対するだけでなく、子どものリハビリテーションに取り組む医師やセラピスト、そしてその家族や友人にもお奨めしたい一冊。
生の手ざわりを求めて――。
“正しさ”は病いを治せるか?
“自分らしさ”はあなたを救うか?
不調の始まる前から病気の事前予測を可能にし、予防的介入に価値を与える統計学的人間観。
「自分らしさ」礼賛の素地となる個人主義的人間観。
現代を特徴づける一見有用なこの二つの人間観は、裏で手を携えながら、関係を持つことではじめて生まれる自他の感覚、すなわち「生の手ざわり」から私たちを遠ざける。
病いを抱える人々と医療者への聞き取り、臨床の参与観察、人類学の知見をもとに、今を捉えるための三つ目の人間観として関係論的人間観を加えた。
現代社会を生きる人間のあり方を根源から問う一冊。
協同医書出版社
臨床のなかの物語る力
高次脳機能障害のリハビリテーション
佐藤公治、田中彰吾、篠原和子、本田慎一郎、玉木義規、中里瑠美子、三上恭平 著
ISBN978-4-7639-1088-2
B5判 196頁 2020年11月28日発行
定価 3,300円(税込)
教育心理学、哲学、認知言語学、そしてリハビリテーション治療学とのコラボレーション!
姉妹編『臨床のなかの対話力』の、その次のステージへ
本書は『臨床のなかの対話力』(2019年刊行)の続編です。
本書では、前著で「対話力」と呼んだものの実体にさらに迫りたいと考えました。
それは、「対話」の口火を切り、それを維持していく力は、「私」という意識が対話の相手へと向けた言葉を探し出し、表出するという行為によって成立しているからです。
そしてまた、言語を使う人間の能力が、発達や学習に果たしている役割を理解することは、対話的な発見と学習の場であるリハビリテーション臨床の世界においても「治療理論」のベースとして意識的に活用されるべきであり、「対話力」を「物語る力」としてアクティブに捉えることで、治療における回復に向けた患者さんの原動力をよりいっそう具体的にイメージすることができるのではないかと考えたからです。
患者さんの抱える問題は、脳機能障害による運動も含めた行為全体にわたる複雑なものです。そして、その問題の解決は、どうし。も患者さんの脳に備わった仕組みへのアクセスを介して図られなければなりませんし、リハビリテーション治療の目的もまた、そうした認知プロセスをどのように回復させていくのかということに尽きます。
そのアクセスのための経路、言わば人間の認知プロセスの仕組みの変化を知るために患者さんとセラピストとが出会う領域として着目しているのが、「対話」という姿で現れる、言語を使う人間の能力の創造性であり、それらが生み出す具体的な記述の分析と治療への応用です。
本書は、人間に備わる記述能力を「自分の経験を記述し、それを創り上げていく」という意味合いを込めて「物語る能力」と捉え、その能力が生み出すダイナミズムをリハビリテーション治療に活用する方法を提言しています。
リハビリテーション治療に留まらず、保育や教育学、そして心理学に関わる職種にとっても興味深く、実践の手がかりにあふれた内容です。