認知神経リハビリテーション学会

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メッセージNo.17  「双子の認知についての覚書」

 まだ5歳の双子の男の子がいる。わんぱくである。保育園の先生も困っているらしい。どうも父親の躾(しつけ)がまずかったらしい。二人ともファミコンが好きで、来年からは小学校だというのに文字を書く練習をあまりしようとしない。

 先日、風呂に入っていてもあんまり騒ぐので、躾ようと思い質問した。
「勉強とファミコンのどちらが大事か?」と。
奏(かなで)は「どっちも大事」と答えた。
航(わたる)は「勉強」と答えた。
もう一度、奏に聞いた。するとまた「どっちも」と答えた。そこで、頭を湯船の中に押し込んで(虐待?)、もう一度聞いた。すると、それでも「どっちも」と答えた。そこで大声で(脅し?)もう一度どっちが大事だと聞いた。するとまた「どっちも」と答える。我子ながら非常に強情である。一瞬、こうやって、こんなことが積み重さなることによって、子どもと父親の関係が断絶してゆくのではないかという真理に触れたような気がした。そこで父親は一瞬考え、直感的に、「勉強とファミコンとどっちが好き?」と聞いた。すると奏は少し考えて「ファミコン」と答えた。続いて、「では勉強とファミコンはどちらが大事か?」と聞いた。すると奏は「勉強」としぶしぶ言った。

 ところが、話はこれで終わらない。一部始終を見ていた、もう一人の航の方に「勉強とファミコンとどっちが好き?」と聞いてみた。すると航は「勉強」と答えた。航、違うだろう!

 認知、あるいは言語の分析は、前後の文脈の中で解釈しなければならない。発達心理学者のピアジェは、日常の何気ない観察によって、子どもの認知発達を研究した。その意味に少し触れたような気がした。知能と認知は違う。知能と認知能力が相関していると考えてはならない。この場合、知能は強情な奏の方が高く、認知能力は素直な航の方が高い。父親は、双子のどちらかが理学療法士になってもらいたいと思っている。素直な航の方がなってくれるような予感がする。

2003.5.15

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