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メッセージNo.44  「手を讃えて、そして、サントルソ認知神経リハビリテーションセンターを讃える」

 手を讃えて
 Vie des fomes, suivi de Eloge de la main 1943
 Henri Focillon(1881-1943)
 (アンリ・フォション・阿部成樹訳: かたちの生命,ちくま学芸文庫,2004)


 「手は創造の道具であるが、何よりも認識の器官なのである」

 感じ取れないほどの重みを持つもの、生命の熱を持った鼓動を備えたもの、外皮に包まれ、または衣をまとい、あるいは毛足に覆われたもの、さらには石さえも、それが水の流れに割られて角が落ちていようと、荒い表面がそのまま残っていようと、これらはみな手に取ってつかむものなのであり、視覚も精神も単独ではなし得ない経験の対象なのである。

 世界を手にすることは、いわば触覚的な勘を必要とする。視覚は、宇宙の表面に沿って滑っていく。手の方は、対象に重みが宿っており、それが滑らかもしくはざらざらしており、空の遠くや大地と一体化して見えたとしても、決してそこに貼りつけられているわけではないことを知っている。

 手の働きは空間の後退を測り、またそこを占めている事物の密度をはっきりさせる。表面、質感、濃度、重さは、視覚的な現象ではない。人間がそれらをまず知ったのは、指の間で、たなごころの凹みにおいてのことなのである。人間は空間を測るが、それは視線によってではなく、手と歩幅によってである。

 触れることによって、自然は神秘的な諸力によって満たされる。もし、触れることがなければ、自然は暗箱に投影された美しい風景のように、薄っぺらで奥行きがなく、幻影のごときものであったろう。

 このように身体の動きは、触れ、かつなぞることの多様さを通じて、我々の知識を富ませる。


 サントルソ認知神経リハビリテーションセンターを讃える

 日本認知運動療法研究会は、サントルソ認知神経リハビリテーションセンターの新しい建物(研修棟)の新築落成を心から祝します。そして、私は、サントルソ認知神経リハビリテーションセンターを讃える言葉をお祝いとして贈ります。

 それはフランスの美術史家であるアンリ・フォションの「手を讃えて」(Henri Focillon,Vie des fomes, suivi de Eloge de la main 1943)に書かれていた言葉です。

 この認知運動療法と共通する言葉を、親愛なるサントルソ市長Pietro Menegozzo氏とすべてのサントルソ市民に、親愛なるカルロ=ペルフェッティ教授と素晴らしいセラピスト達に、そして、すべての友人と関係者と患者さんたちにプレゼントします。認知運動療法は、まさに、こうした手(身体)の回復を目指す、世界で最も進歩的な治療です。今も、世界中で数多くの患者たちが苦しんでいます。これからも、そうした患者さんたちのために、北イタリアのサントルソ・スマーノ山の麓に立つ、新しいセンターから、世界の国々に向けて大いなる希望を発信して下さい。

 サントルソ万歳!!!
 よい仕事を。

日本認知運動療法研究会会長 宮本省三 2008.11.8

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